衛星イパーブの開発を主導

   
 世界的海上の遭難安全システムの一つとして船舶搭載用衛星イパーブ
(Emergency Position Indicating Radio Beacon) があります。
 NECでの無線知識を活かし、NEC無線電子(株)出向中にこのラジオビーコンの開発を担いました。同社は船舶無線機器の経験があり旧世代の船舶用ラジオビーコンを業界に広く製造販売しており、その次世代機開発の意味合いがありました。

 幸に開発チームの狙いが良く、性能に関し航海学会論文誌に投稿する機会を得、また外観デザインが好感を持たれ2005(平成7)年度グッドデザイン賞を受賞することができました。折から同社が手掛けていたデミング賞受賞活動の際の自主製品開発のモデル製品としても役立った。
 この時期に育成した技術と製造設備は、後に大洋無線(株)に移されましたが、更に新機種開発の原動力となり、斯界に独占供給が行われています。

 このラジオビーコンは、遭難時に自動または手動で起動し、発射電波を低高度極軌道衛星が中継し、受信する際のドプラー効果により各国の救難機関が測位計算し遭難船の救助に向かうもので、日本の場合海上保安庁が担っています。
 
 かつて経験した初期の日本の衛星軌道観測にとしてのドプラー方式と基本原理は同じであり、長い国際討議の歴史を持ったシステムです。この種の機種は、国際規格に沿って検定を受けることが求められ、フランスのCNESが一括して担当しており、フランス南部のToulouses space center内のInte spaceの設備で検定試験が行われ、二度立ち合うことができました。
 衛星イーパブは、国際海事機構(IMO)が定める新しい海上安全救難システムGMDSS
(Global Maritime Disaster & Safety System)の一部をなすものであり、この時期各国で開発が進められていた。
 
   
   
  121.5/406MHz二周波モノポールアンテナの開発評価状況  測位精度を左右する Key Device
省電力で急速に高安定を得る水晶発振器の開発 
 
       
  CNES Toulouse Space Center玄関  世界各国の衛星イパーブ CNESにて   
       
   2020(平成7)年度Good Design賞受賞記念テレホンカード Good Design 賞受賞記念パーティ
NEC社長 小山NECREL社長 ・右端筆者 
 
   
参照資料
① 日本航海学会誌 論 文    88号 1993.03 
② 日本航海学会誌 論 文    93号 1995.09
③ 日本航海学会誌 論 文    98号 1998.03
④ 日本航海学会誌 研究調査 141号 1999.09
⑤ 日本電気技報  平成4年度グッドデザイン賞受賞ニュース
⑥ モノポールアンテナ
(衛星イーパブ用) 特許第2633485号
⑦ 衛星イパーブ高精度化の研究 拓殖大学位論文 平成12年3月
⑧ NEC無線電子技報 
(改良衛星イパーブ特集号) 1995.03.31
⑨ 写真 製品プロトタイプ水晶発振器部分、ほか 
 
   2017.04.11